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春の紅葉

5月ゴールデンウイークの初日、庭に出て、楓の写真を撮りました。
この楓は、秋ではなく春に紅く色づきます。
ずーっと長い間、私はそのことに気がつかないでいました。

生来観察力に欠けるということもありますが、赤緑色盲のせいで、赤と緑の識別が困難なんです。
折角紅葉しているのに、周囲の緑に紛れ込んでしまって気がつかないという次第。
そんな訳で、赤い花を咲かせる椿は大の苦手で、花がぼたりと地面に落ちてはじめて咲いていたことを知ることになります。

この春、家族から色づき始めた楓について教えてもらった時には、驚きました。それとともに、はじめて知るその美しさに心が震えました。こんな身近な所に、私がこれまで知ることのなかった美しさが
ひっそりと存在していたとは・・・。

そういえば、プラトンが人間の目に見える世界を「洞窟の世界」に喩えて、真実の世界に到ることの難しさについて語っていたことが思い出されます。「見れども見えず」、「聞けども聞けず」、「知れども知らず」にあるのは、何も「春の紅葉」に限った話ではありますまい。

されば、「思いこみ」という洞窟の囚われ人にならないように、心したいと思います。 (角田 記)