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かなり古い北朝鮮情報

 最近何かとメディアで取り上げられる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)ですが、木材業界に入る前にアパレル関係に勤めていたことがあり、そこが北朝鮮との取引をしていました。

 こちらから生地やボタンなどの資材を送り、彼の地で縫製して送り返してもらうというやりとりで、ずいぶん輸出資料を作った記憶があります。

 そんな当時(14,5年前)の現地情報を思い出すままに書きますと、

 担当責任者

 北朝鮮側の責任者は、日本語が非常に堪能で、「より良いものを作って、取引量を増やしたい」と   意欲的で、好感の持てる人物でした。

 工場従業員

 平壌にある工場には、200人ぐらいの女性従業員がおり、仕事ぶりは真面目で丁寧でした。縫製レベルは日本と変わりません。品質管理も行き届いており、白いブラウスを土足で歩く床の上に直接置いたりするようなことはありませんでした。

 女性従業員はおおむね小柄で、韓国の女性より一回り小さく感じました。化粧化はまったくありません。綺麗なひとはずいぶんいたのですが。

 「従業員の制服を作り、全員に支給しよう」と決めたとき、その話を聞いた彼女たちの反応は「服が増えた!」と大変な喜び様で、工場内が騒然となりました。そんなに喜ばれるとは思っていなかったので驚きでした。

 電力事情

 工場内は電気をつけても薄暗く、日本から持っていったソーラー電卓が使えませんでした。

 入国

 平壌へは北京経由で入国しますが、空港では運転手付きでベンツが用意されています。ちなみにこの運転手は見張り役も兼ねています。

 車には格付けがされており、自分より格上の車が来たら道を譲らなければいけません。

 日本との連絡など

 電話は盗聴されております。冗談にも「テポドンの機密情報を入手した」などといえば、日本に帰れなくなります。国交が無いため、大使館などの保護をしてくれるところがありません。

 FAXは直接やりとりできません。名前は忘れましたが、まず情報局のようなところへ送りそこで検閲を受け、問題がなければ情報局から送られるというシステムでした。

 仕事上で渡す指図書は、たとえメモ程度の大きさであってもすべて持ち帰らなければいけません。現地に置いていくことはできませんでした。

 食糧事情

 食糧事情が良くないことは、従業員の体格からも感じ取れましたが、ホテル内のレストランにはなんでもありました。

 運転手を誘って2人でレストランのカレーを食べたときの会話です。

 私 「肉は食べてますか」

 運 「毎日、食べてます」

 カレーの肉を持ち上げて

 私 「これなんだか、知ってますか」

 運 「はて、なんでしょう」

 従業員から「今度来るときには砂糖を持ってきて欲しい」とねだられたことがありました。

 以上、思い出すままのかなり古い北朝鮮情報でした。