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京都東山・青蓮院青龍殿舞台 工事現場見学会

7月下旬の一日、M’s構造設計さんが主催した、青龍殿舞台の工事現場見学会に行ってきました。
場所は京都東山華頂山頂上に位置する「将軍塚」、京都盆地を眼下に一望できる見事な地点です。
この場所に、天台宗青蓮院の飛び地境内があって、平成24年までは、大日堂という建物や広大な庭園、それに京都市内を展望できる舞台のある、隠れた観光スポットだったということです。

で、25年1月からは全面リニューアルということになり、今まさに落慶に向かう最終局面に差し掛かっているというわけです。このリニューアルが半端じゃありません。新たに、大正期に建てられた大木造建築を移築し、そこに新設の護摩殿と国宝「青不動明王」をまつる奥殿を併置、さらには1000m2に及ぶ木造の大舞台を再建するという大プロジェクトなのです。いやあ、ここにくるまで全く知りませんでした(笑)

ちなみに、移築工事は宮大工の飛鳥工務店さん、新築工事は内田組さんが担当され、木造の大舞台の設計を担当されたのがM’s構造設計さんということのようでした。
この大舞台の設計にあたり、欧州での木橋設計などの実績を重ねてきた経験を評価されて、助っ人に請われたのが法政大学の網野禎昭教授(長澤悟教授が会長を努める、われらがA-WASS=木と建築で創造する共生社会実践研究会=の副会長)だったというご縁で、私にも貴重な見学会への参加案内がいただけたという次第です。

さて、前置きが長くなりましたが、百聞は一見に如かず、以下画像を紹介します。

まずは移築中の本殿(青龍殿)正面の画像です。
大幅な修理・補強の様子がよくわかりますね。

次がその一部分のアップです。

こちらが木造大舞台の模型。使用材料が、集成材ではなく、製材品であることにご留意ください。

模型部分のアップです。

頑丈に据えられた、木造舞台を支えるコンクリート基礎です。

舞台を支えるトラスの既完成部ですが、巨大すぎて絵になりません(笑)

トラス材料に使用された杉の製材品です。長さは6~7mだそうですが、
正確な幅と厚みは聞きそびれました・・・。とにかくでかい!

製材品は2枚を重ね、最長27mにつないで使用されるそうです。
接合部には接着剤と金物を使用。なお、製材品トラスのコストは、集成材よりも低いとのこと。
構造材としての木材利用の方法が、建物の規模、用途、周辺の森林資源や木材加工能力の実情
などに応じて、多様であることが重要であることの実例だといえそうです。

これが舞台から見下ろす京都市内の景観。見事です!

締めの画像は、やはりこの人、網野先生でしょう!

ともあれ、素晴らしい現場を堪能できました(^^;   関係者の皆さんに大感謝です。
この秋、青龍殿落慶を記念して、国宝「青不動」がご開帳だそうです。
みなさま、お見逃しなく!
そして、豊かに花開く木材利用の庭に、わが国産ストランドボードの一輪が咲きますように!

(角田 記)