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福井市至民中学校レポート第2回

さて、至民中学校が推進している教育改革の中身を簡単に紹介しましょう。
第一は、学びの改革=参加型の考える授業作り=です。この改革は、これまでは学習の場であるとともに生活の場でもあった学級を、学習の場である「教科センター」と生活の場である「ホーム」という別の空間に分離することによって、より意識的で主体的な「学び」の場を用意するとともに、これまで1回につき50分間だった授業時間を、70分授業に延長し、生徒達が自ら授業に参加して課題を探求するための十分な時間を確保しています。又並行して1日1回の20分授業では従来からの習得型授業のより効率的な実施をめざしています。私が参観の機会を得た70分の英語の授業でも、先生が生徒に対して一方的に英語の知識を習得させるといったこれまでのスタイルとは違い、先生が生徒達の自発的な学習の援助役に徹しているのがとても印象的でした。

第二は、暮らしの改革=異学年集団を単位とする学校運営=です。これは先に紹介した「ホーム」を、これまでのように学年別に横割りに配置するのではなく、異学年を縦割りにまとめた120人前後の集団に分け、暮らしや行事、総合学習の運営単位にするとともに、上級生の学習成果を下級生が活用できるようにするというもので、いわば学内に実社会のミニチュア版を作り出すという大胆な改革です。強制的な生活指導から異学年の交流に基づく生活訓練への移行をめざすこの方針は、学内外で「上級生による下級生への悪影響(いじめ、悪習の伝播など)」を懸念しての反対意見が強かったそうですが、校長先生は、半年あまりの経過を振り返って、生徒同士のコミュニケーションの増進に伴う人間的成長というプラスの側面を高く評価されていました。

第三は、地域との関係の改革=地域と共に作る学校=です。福井市の渡辺教育長はこれについて「至民中学は地域によって支えられる、地域の人々の心の拠り所としての学校です。新校舎そのものが『地域文化交流棟』であり、生徒達による地域文化創造への橋掛かりとなるものです。」と明確に定義されておられます。実際、私が、昨年10月24日に開催れた第一回の公開研究会にお邪魔した折にも、地元ボランティアの皆さんから新校舎の細部や建設の経過についての詳しい説明を聞かせていただきました。皆さんの誇らしげな笑顔からは、地域と共に作る学校の理念が着実に根付き始めていることがしっかりと伝わってきました。

さて、至民中学の新校舎には、随所にこうした教育改革をサポートするための工夫がこらされていますが、それについては第三回のレポートで(続く)。  (角田 記)

*画像は、理科のエリア、数学エリア、市民ステージと市民ホールです。