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木材利用拡大大会in京都その1:「地材地建」の次へ! 

3月5日の京都市、第1回目の森林・林業京都会議です。その分科会の「木材利用拡大大会」に行ってきました。この分科会は、京都府、京都府木連、京都府産材認証協議会の3団体とウッドマイルズ研究会の共催で開催されました。ウッドマイルズ研事務局の滝口さんや岐阜県県産材流通課の中通さんとご一緒でした(^^;

基調講演は、「みなとモデルCO2固定認証制度」を推進する東京都港区の早藤係長さんです。この制度は、港区が協定を結んだ全国の自治体(昨年10月時点で63自治体)から供給される持続可能性を担保された木材を活用することで、区内の建築物への国産材の利用を促進することを目的にして
います。ちなみに弊社は、岐阜県東白川村との間で木材加工企業としての協定を結ぶことでこの制度の一端を担っています。まだ実績はあげていませんが(笑)。

お話によれば、昨年10月時点での運用状況は計画書提出件数が27件、竣工件数が1件ということで、事業は確実に軌道に乗り始めているといえるでしょう。
興味深かったのは、国の公共建築物等利用促進法に基づく東京都の方針とのすれ違いという指摘でした。都の方針の名前は「東京都公共建築物における多摩産材利用推進方針」だそうです。これは、各地で見られる山側主導の木材利用施策の典型だと思われます。この方針では、どうしても公共建築物における地域材利用が、狭苦しい「都道府県材」に限定されることになりがちです。実際、港区の制度についても、「なんで多摩産材ではないのか」という圧力を受けたとか・・・。

この問題について、共催者であるウッドマイルズ研究会の藤原敬代表運営委員は、「消費地主導の木材利用のモデルは素晴らしい!」と評価されていました。同感です。

さて弊社もその一員であるWASS(木と建築で創造する共生社会研究センター)では、1年間の休止期間を終えて第2期に向かっての本格的な準備作業が始まりました。
その旗印は、「仮想流域構想」です。
これは、かつては河川という流域で結びついていた木材の供給側と利用側の顔の見える関係を、狭苦しい都道府県内に限定された「地材地建」ではなく、日本中の山と町の血の通った交流が紡ぎ出す無数の物語の力で再生するという試みに他なりません。
だとするなら、「みなとモデル」の志は、私たちWASSの志でもあります。
久しぶりの京都で、強くそう思いました。

なお「みなとモデル」については、次のウエブをご参照ください。
http://www.uni4m.or.jp/
 (角田 記)